ビジネスの現場では、どれだけ能力が高くても、周囲との信頼関係が築けなければ成果は限定的です。
逆に、特別なスキルがなくとも、「この人と仕事がしたい」と思われる人は、自然とチャンスが巡ってきます。
多くの信頼を集め、良い案件や情報、協力を得られる人には「人に好かれる力」が働いています。これは生まれ持った性格ではなく、日々の行動によって誰でも身につけることができる“技術”でもあるのです。
記憶力が信頼を生む
「この前言ってたプレゼン、どうなりましたか？」「お子さんの受験、もうすぐですよね」ビジネスの現場で信頼を得ている人は、相手の話をよく覚えています。
大した会話ではなくても、こんな一言があるだけで、「この人は自分に関心を持ってくれている」と感じます。
特別な記憶力がなくても、ポイントをメモしておいたり、出会いの直後に要点を記録したりするだけで十分です。人は「自分に関心を持ってくれる人」に心を開き、自然と信頼を寄せるようになります。
意識して会話に空白を作る
情報を過不足なく伝えるのは大切です。しかし相手が話す余地を残すことで、会話は一方通行ではなく“共創”になります。
相手が何を聞いたら良いかわからないほどスカスカの自己紹介をすることも御法度ですが、自分のことを語りすぎると、相手が何について質問すれば良いかわからなく状況に陥ります。
つまり会話においては「詰め込みすぎない」余白を持たせます。相手が質問したくなるような“余白”をあえてつくることで、対話が生まれ、より深い理解や納得が得られるのです。
一方的な説明ではなく、相手の反応に合わせてテンポを調整することも、「この人とは話しやすい」「信頼できる」と思わせる大切な技術です。
自分の言葉で話す癖をつける
どんなに正しいことを言っていても、借り物の言葉ばかりだと、聞き手には響きません。ビジネスで印象を残す人は、自分の体験や価値観を交えた言葉で話すことを心がけています。
たとえば、「この施策には、過去に似た事例でこういう成功がありました。私自身も当時、このような視点を持って関わっていました」といった具合です。
自分の言葉で語ることで説得力が増し、相手の記憶に残ります。
特別なスキルや肩書きがなくても、「人として信頼されるふるまい」を意識するだけで、周囲からの評価も、仕事の進めやすさも大きく変わります。
司馬遼太郎の小説『関ヶ原』に登場する徳川家康のように、敵対していた相手をも味方に引き入れるふるまいは、現代のリーダーシップやマネジメントにも通じる「信頼構築の本質」を体現しているのではないでしょうか。
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